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最高裁判所第一小法廷 昭和24年(新れ)405号 判決 1950年3月23日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人加藤定藏上告趣意について。

しかし、刑訴施行法四條によれば新刑訴法施行の際まだ公訴が提起されていない事件については、新法を適用すべきものであって、新法と旧法とは第一審手続のみならず上訴審の手続を全く異にするものであるから、控訴審において所論旧法事件と本件新法事件とを併合審判すべきものではない。從って、所論併合審判を拒否した原審の手続には何等の違法も存しない。

そして併合罪として同時に起訴されたときは執行猶予を与えられる可能性ある数罪を檢察官において、時期を異にして、各別に起訴したからといって違法であるといえないばかりでなく、裁判所は起訴を待って審判を為すべきものであるから、檢察官の故意又は過失によって起訴が遅延したとしても、そのことを以て直にその起訴に対する裁判所の審判を目して迅速を欠く裁判であるということはできない。

されば、所論前段は、法令違反の主張としてもその理由がなく、また、所論後段は、憲法三七条一項に当らないこと明白なばかりでなく、原判決が同條項にいわゆる迅速な公開裁判でないという理由で原判決の破棄を求める上告理由となし得ないことは既に当裁判所大法廷の判例とするところであるから、論旨は、すべて、採ることができない。

よって刑訴四〇八条により主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 齋藤悠輔 裁判官 真野 毅 裁判官 岩松三郎)

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